動物取扱業における用途地域による制限について
2025年8月20日更新
用途地域とは?
用途地域とは、市街化区域において住居地・商業地・工業地など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、それぞれの地域の目的に応じて、用途や建てられる建物の大きさ・種類が決められています。
Check★市街化調整区域については、特定行政庁の許可を得た場合を除き建物を建築したり用途を変更することができませんので、動物取扱業の開業は難しいと考えてください。 Check★規制緩和により、公益上必要と必要と判断される場合は許可を得ることが出来る場合もありますが、動物を扱うビジネスについては非常にハードルが高いうえに、個人からの許可申請は、ほぼ通らないと考えることが妥当でしょう。 Check★特定行政庁とは建築主事を置く地方公共団体の長のことを言います。
建築主事が配置されている市町村の長または都道府県知事(建築主事が配置されていない市町村場合)が該当します。
用途地域の調べ方
用途地域は、施設所在地の各市町村役場で調べますが、自治体によって担当窓口の名称が異なりますので、案内所で「都市計画担当課」と尋ねてください。
担当窓口では、「用途地域を確認したい。」と申し出て、必ず担当者と一緒に確認を行ってください。
場所によっては、二つの用途地域の境界に位置し、判断が難しい場合もありますので、担当者に判断を仰ぐ事で後のトラブルを防止する事ができます。
Check★インターネットで用途地域を確認できる自治体も増えていますが、最新情報になっていない事もあります。少し面倒ですが、必ず窓口まで足を運んで確認するようにしましょう。 用途地域の確認もお任せください!
用途地域による制限とは?
「用途地域の種類」は住居系・商業系・工業系など13種類に区分されています。
用途制限とは、用途地域が指定されている区域で定めれている、土地や建物をどのように使えるかと言う細かいルールのことを言います。
第一種動物取扱業登録や第二種動物取扱業届出を行う場合、事業所の予定場所の地域に、開業を希望する業種に対する用途制限が無いかを確認するように求められます。
動物取扱業に関しては、特に住居専用の用途地域での開業のハードルが高く、事業所を決定する前に必ず用途制限を確認しておく必要があります。
特に、動物飼養施設(建築基準法上は畜舎)を設置する業種(ペットショップ・ブリーダー・ペットサロン・ペットホテル・犬の保育園等)については、各種の「住居専用地域」や「田園住居地域」での開業は非常に難しいと考えるべきでしょう。
飼養施設の設置スペースに上限があるうえに、自治体によりますが業を行う目的での設置自体を認めていない場合も少なくありません。
用途地域の種類と制限(飼養施設を設置する場合)
以下の用途地域内に「飼養施設」を設ける場合はスペースに制限が掛かりますので、制限内のスペースで設置ができるか充分に検討する必要があります。
改正動物愛護管理法(2019年)において、犬猫の飼養施設についての基準が非常に厳しくなったことから、特に多くの頭数を飼養または保管する業種(ブリーダー等)については、各種の住居専用地域と田園住居地域での開業は避ける方が無難でしょう。
また、飼養施設の設置を認めるかどうは自治体の判断に委ねられますので、必ず事前に建築担当部局で可否を確認しなければなりません。
仮に設置を認められた場合であっても、店舗としての開業認められた訳ではありませんので、施設内での商活動は行えません。
ブリーダーの場合は、ペットオークションやペットショップへの卸売りのみが可能と言うことになります。
店舗としての開業が可能かどうかについても、同じく自治体の建築担当部局で確認できますが、用途地域によって業種や規模等に制限がありますので、動物を取り扱う業種の店舗開業は非常にハードルが高いと考えるべきでしょう。
開業後に違反が判明した場合は、事業所の閉鎖や移転を余儀なくされますので、この部分は確実に押さえておくべきです。
動物取扱業を営むうえにおいては、近隣トラブルのリスクが高く、近隣からの通報による立入調査から違反が発覚する事例が多いと言われます。
Check★必ず市町村の「都市計画課」「建築指導課」などの相談窓口に飼養設置及び店舗開業の可否を、事前に確認してください。(担当部署は自治体により名称が異なります。) Check★自治体によりますが、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「田園住居地域」での「業としての飼養施設設置」を認めていないケースが少なくありません。●飼養施設設置に関する制限
用途地域 | 受ける制限 |
第一種低層住居専用地域 | 15㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
第二種低層住居専用地域 | 15㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
第一種中高層住居専用地域 | 15㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
第二種中高層住居専用地域 | 15㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
田園住居地域 | 15㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
第一種住居地域 | 3,000㎡を越える飼養施設は設置できない。 |
※15 ㎡ = 約4.54 坪 = 約10.39 畳(団地間)
Check★飼養施設には、動物の保管場所のみならず、洗浄設備、廃棄物の集積設備、餌の保管場所、訓練場他、動物の飼養に関連して利用する全てのスペースが含まれます。●店舗開業に関する制限
用途地域 | 受ける制限 |
第一種低層住居専用地域 | 地域住民の生活に必要であり、かつ小規模な店舗兼用住宅(店舗部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)のみ認められる。 動物取扱業の店舗開業を認めている自治体は非常に少ない。 |
第二種低層住居専用地域 | 地域住民の生活に必要であり、かつ小規模な店舗(床面積150㎡以下・3階以上は不可)は認められる。 動物取扱業の店舗開業を認めるかどうかは自治体による。 |
第一種中高層住居専用地域 | 住環境が重視され業種は限られるが、店舗(床面積500㎡以下・3階以上は不可)は認められる。 動物取扱業の店舗開業を認めるかどうかは自治体による。 |
第二種中高層住居専用地域 | 日常生活に便利な店舗(床面積1,500㎡以下)は認められる。 動物取扱業の店舗開業は認められるが、動物飼養施設は15㎡以下となる。(自治体によっては、業としての動物飼養施設の設置を認めない場合もある。) |
田園住居地域 | 農産物を販売する店舗や地域住民の生活に必要であり、かつ小規模の店舗は認められる。 動物取扱業の店舗開業については認められない可能性が非常に高い。 |
第一種住居地域 | 一部の業種を除く店舗(3,000㎡以下)は認められる。 動物取扱業の店舗開業は認められる。 |
用途地域の種類と制限(飼養施設を設置しない場合)
いずれの用途地域であっても、動物飼養施設を設けない業種(出張型のペットシッター・ペット介護・ペット美容・トレーナー等)の事務所(来客や動物の立ち入りがない場合)としての開業は認められます。
但し、用途地域により規模等の制限がありますので注意が必要です。
Check★業務内容によっては制限が掛かる恐れもありますので、事業所を決定する前に、必ず自治体の建築部局に相談のうえ確認を取りましょう。用途地域 | 受ける制限 |
第一種低層住居専用地域 | 小規模な兼用住宅(事務所部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)であれば認められる。 事務所単独での使用は認められない。 |
第二種低層住居専用地域 | 兼用住宅(事務所部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)に加え、小規模な事務所(床面積150㎡以下・3階以上は不可)であれば単独使用できる。 |
第一種中高層住居専用地域 | 兼用住宅(事務所部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)に加え、一定の規模の事務所(床面積500㎡以下・3階以上は不可)であれば単独使用できる。 |
第二種中高層住居専用地域 | 兼用住宅(事務所部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)に加え、一定の規模の事務所(床面積1,500㎡以下)であれば単独使用できる。 |
田園住居地域 | 小規模な兼用住宅(事務所部分は延べ床面積の1/2未満かつ50㎡以下)であれば認められる。 事務所単独での使用は認められない。 |
第一種住居地域 | 3,000㎡以下の事務所は原則認められる。 |
第一種動物取扱業サポートサービス
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