第二種低層住居専用地域内での動物取扱業開業について

第一種動物取扱業開業, 動物取扱業登録, 用途地域

第二種低層住居専用地域内での動物取扱業開業について

2025年9月3日更新
改正動物愛護管理法(2019年)準拠

第二種低層住居専用地域とは

第二種低層住居専用地域とは、都市計画法の「用途地域」一つで、建築基準法第48条により、土地の利用方法に一定の制限がかけられる地域です。

制限の基本的な内容は、「良好な住居の環境を害するおそれがなく、地域の公益上必要な建築物以外は建築できない。」と言うもので、第一種低層住居専用地域に次ぐ厳しい制限がかかる用途地域です。

では、ブリーダー・トリミングサロン・ペットホテル他の動物取扱業を行う店舗が、地域の公益上必要な建築物として認められるかどうかを考えて行きましょう。

他の用途地域の制限については、以下のバナーをタップ

動物取扱業登録(飼養施設有り)は可能か?

第二種低層住居専用地域で動物取扱業登録は可能か?

結論から言いますと、かなりハードルが高いですが、第二種低層住居専用地域内であっても、自治体の「都市計画課」及び「建築指導課」(自治体により名称は異なる。)が「飼養施設(店舗)の業態や建築構造に法律上問題ない。」と言う判断をすれば、動物取扱業登録(飼養施設有り)は可能です。

Check★用途地域の他に、地区計画や自治体の条例に基づく地域のルールによる制限がないか含め「都市計画課」に確認する必要があります。

Check★建築物の規模、構造、用途、工事種別により、建築確認申請が必要な場合もありますので、具体的な計画を示して「建築指導課」に相談しなければなりません。

動物取扱業登録の申請手続き上は、特に都市計画法や建築基準法に基づく許可を得ていることを証明する書面が必要な訳ではありませんが、大阪府では「確認書」の提出、その他の自治体でも口頭での確認他、何らかの確認を受けることになります。

その確認に対して、明確な回答をしませんと登録を拒否されます。

飼養施設を設置しない場合の制限等については、以下のバナーをタップ

自治体での確認から申請の流れ

都市計画法・建築基準法に基づく、第二種低層住居専用地域内での飼養施設(店舗)の建築・設置可否の確認の流れは以下の通りです。

 

Step.1都市計画課に相談
具体的な「所在地」を伝え、飼養施設(畜舎)の設置が可能か確認。
※施設所在地に「地区計画」や「自治体の条例に基づく地域のルール」等がある場合、設置できない恐れもあります。
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Step.2建築指導課に相談
具体的な「所在地」「飼養施設の規模・構造」「用途」等の詳細な情報を伝え、動物飼養施設(畜舎)設置の可否及び動物関連の店舗開設の可否を確認。
※この部分の判断は各自治体に委ねられており、自治体により判断が異なる場合があります。「業」とし使用する動物飼養施設(畜舎)設置を認めていないケースも少なくありません。
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Step.3動物愛護センターへ登録申請
都市計画課・建築指導課で「最低限でも動物飼養施設の設置が可能」と言う確認が取れた場合のみ、動物愛護センターへの登録申請が可能です。
大阪府では、都市計画課・建築指導課での確認が済んだことを誓約する「確認書」の提出が必要となります。
その他の自治体の場合は、「第一種動物取扱業登録申請書 様式第1」の備考欄に、確認済みの記載をすれば良いでしょう。

ややこしい事前確認も専門家に任せて安心!

建築(設置)が許可されるケース

建築基準法により、第二種低層住居専用地域内での動物を取り扱う施設や店舗の建築(設置)が許可されるケースは以下の通りです。

Check★自治体により許可されない場合もありますので、必ず事前確認をしてください。

15㎡以内の飼養施設(畜舎)

対象:ブリーダーのみ

住宅や店舗の建築物付属施設として15㎡以内の飼養施設(畜舎)の設置は、法律上許容されます。(建築基準法第48条・建築基準法施行令第130条の5)

しかしながら、僅か15㎡の中に動物愛護管理法で定められた施設基準を満たすケージ・運動スペース・洗浄設備他を収めるのは至難の業です。
改正動物愛護管理法(2019年)において、犬猫の飼養施設についての基準が非常に厳しくなったことから、飼養できる頭数に限界があり、特に犬猫ブリーダーについてはビジネス性の面でかなり厳しいと考えるべきでしょう。

また、15㎡以内の飼養施設の設置が認めれた場合であっても、動物関連の店舗開設が認められない場合は小売りを行うことができません。

生まれた動物を全て業者へ卸売りすることは可能ですが、一般消費者への販売(小売)を行うと、店舗としての営業を行う事となり、用途制限違反となりますので注意が必要です。

Check★法律上、設置は認められていますが、用途を遵守することを徹底しましょう。

店舗内での15㎡以内の飼養施設(畜舎)

対象:小売を行うブリーダー(ペットショップ)、トリミングサロン・ペットホテル他

Check★第二種低層住居専用地域内で、動物関連の店舗の建築が許可されるかどうかは、自治体により判断が異なりますので、必ず事前確認をしてください。

第二種低層住居専用地域内に建築できる店舗は、店舗部分の床面積の合計は 150㎡以内のもの(3階以上の部分は不可)と規定されています。(建築基準法別表2(ろ)二)

その店舗部分の内、15㎡以内の飼養施設(畜舎)を設置することが認められます。(建築基準法施行令第130条の5

但し、「建築基準法施行令第130条の5の2」により、第二種低層住居専用地域内に建築することができる店舗が、以下の通り規定されています。

建築基準法施行令 第百三十条の五の二
一 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店
二 理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
三 洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗で作業場の床面積の合計が五十平方メートル以内のもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が〇・七五キロワット以下のものに限る。)
四 自家販売のために食品製造業を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもので作業場の床面積の合計が五十平方メートル以内のもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が〇・七五キロワット以下のものに限る。)
五 学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

例えば、

ペットショップは日用品の販売を主たる目的とする店舗と解釈できるか?
ペットカフェが食堂若しくは喫茶店と解釈できるか?
ペットのトリミングサロンが人間の理髪店や美容院に類するサービスと解釈できるか?

上記の判断は自治体(特定行政庁)に委ねられており、その判断は自治体により異なります。

大半の自治体は人間へのサービスを行う店舗に限定していますが、一部の自治体では、動物関連の店舗やサービスも含まれると言う判断を示しています。

建築基準法第48条2
第二種低層住居専用地域内においては、別表第二(ろ)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

即ち、第二種低層住居専用地域内で「ペットショップ」「トリミングサロン」「ペットカフェ」を営むことを認めている自治体も存在すると言うことです。

まとめ

第二種低層住居専用地域内での動物取扱業の開業は、都市計画法、建築基準法及び各自治体の条例等により様々な制限が掛かることから、決して容易いものではありません。

しかしながら、15㎡以内の動物飼養施設(畜舎)の設置を許可している自治体や、動物関連での店舗の建築や開設を認めている自治体では、法律をしっかりと読み解き、法律を遵守した営業を行えば不可能ではありません。

第二種低層住居専用地域は、いわゆる「落ち着いた住宅街」ですので、開業後は良好な住居の環境を害するような行為を慎み、近隣とのトラブルが生じない努力を続けなければなりません。

Check★近隣とのトラブルが生じた場合、保健所や建築指導課などから様々な調査が入り、移転を余儀なくされる恐れもありますので、充分に注意しましょう。

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